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私の実家は、毎年この時期になると、
ツバメが玄関に巣をつくっていました。
「ツバメが巣をつくるのは、縁起がいいから」
と、歓迎する母。
子供の私は、
「フンが落ちてきたらどうしよう・・・」
と、ドキドキしながら、
毎朝、玄関を出たのを覚えています。
「人が亡くなる年には、ツバメは巣をつくらないんだよ」
なんてことも、母から聞いたことがありました。
驚くことに、
私のおばあちゃんが亡くなった年だけ、
本当にツバメは巣をつくりませんでした。
言い伝えだと、軽く見ていた私は、
ものすご~く驚いたものです。
その時ばかりは、
言い伝えとか、昔からのならわしというものを
大切にしている母のことを、尊敬しました。
うちの近所のビデオレンタル屋さんにも、
見上げると・・・
おなかのすいたひな鳥たちにエサを届けています。
愛ですね~。
母は、子供を守るためなら、
なんだってできるんです。
ちいさなひな鳥の、愛くるしい姿を見たら、
どうして、ツバメが巣をつくると縁起がいいのか
見えてきました。
ツバメが巣をつくるのが縁起がいいのではなく、
ひな鳥を育てる場として、
選ばれた家ということは、
巣を嫌がることなく、
フンにも文句を言わず、
ただただ、ひな鳥の成長と、
おかあさんツバメの子育てを
応援することのできる家。
毎日、フンの掃除を笑顔でこなし、
ひな鳥が落ちやしないかと、防御棚をつけたり、
頼まれたわけでもないのに、
一生懸命、ツバメの子育てを応援する。
そんな家に住む人は、どんなひと?
そりゃ、愛にあふれたひとでしょう。
そんな人が住む家は??
そりゃ、繁栄するでしょう。
そう思うと、
おばあちゃんが亡くなった年、
ツバメが来なかったのも、
決して、
ツバメが不吉だと予測したからではなく、
「毎年お世話になってます。
今年は遠慮しておきます。
おばあちゃんをしっかりと見送ってあげてください。」
という、ツバメからのメッセージなのかもしれない。
「ツバメが巣を作ってくれた」と感謝する人間。
「お世話になります。ありがとう」というツバメ。
人と人との関係も、たったこれだけで、
きっと、もっとよくなる。