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「お湯かげん、どうですか?」
「強さはこれくらいでいいですか?」
「かゆいところはないですか?」
いつもシャンプーで爆睡するのに寝ていない自分に気付きました。
どこか、私は緊張していました。
美容室でシャンプーをしてくれた美容師さん。
右手の指が一本しかない女の子でした。
鏡で見ると、残りの指は小さく細く1センチほどです。
気づいた瞬間、平静を装っている自分がいました。
気づく、感じる、工夫する・・・
え~~と、え~~とぉ~~。
「なにか声をかけたほうがいいのかな?」
「なにか応援できるメッセージは見つからないかな?」
無意識に彼女に気をつかってしまったんです。
彼女はいつも通りやってるのに、
きっとワタシの緊張が伝わったのかなぁ・・・
ちょっと緊張してるかなぁ・・と感じてるワタシ。
ほんと、失礼なワタシ。
せっかくシャンプーしてもらってるんだから寝よっと!
「あ~、気持ちいい~~」
って思った瞬間、彼女の手の動きが変わったんです。
それは、全く違和感のない、
むしろ、いつもより誰よりも気持ちいいシャンプーだったんです。
不思議なくらい、
ワタシの気持ちがズバリ、
伝わってしまっていたと思うんです。
思わず、
「あ~~、きもちいいっ~~♪」
ワタシの口からは、自然に言葉が出ていました。
「わたし、そう言ってもらうのが一番うれしいんです」
と美容師さん。
そして、彼女のほうから、
・生まれつき指が小さく生まれてきたこと。
・姉に憧れて美容師の道を選んだこと。
・高校生の時、地元の美容室のオーナーさんがバイトさせてくれたこと。
など、たくさん、話してくれました。
その美容室のオーナーさんは、
「美容学校へ行くといきなり、 ロット巻きから入るから練習しておきなさい。」
と、高校生の彼女に練習させてくれたそうです。
みんな口では、
「何でも言ってね。」
「応援するよ。」
というものの、
バイトのわたしに、
場を提供し、
技術を教え込んでくれた
その人のことを思うと、
「素敵な美容師になって、恩返ししたい!」
という夢があるそうです。
シャンプーの彼女に、
変に気をつかってしまっていたワタシ。
本当に恥ずかしくなりました。
ポリポリ・・
「わたしの同期は彼なんです。」
と、男性スタッフを紹介してくれる彼女。
カットをしている彼と、
シャンプーをしている彼女。
「もうすぐ試験があるんです。」
と嬉しそうに話してくれました。
たくさんの人に支えられて、応援されている彼女。
きっと素敵な美容師さんになるだろうなぁ・・・
と、ちょっと嬉しくなりました。
ワタシのほうが
お店の方よりも、
深く頭を下げた、
今日の美容室の出来事でした。
「たくさん気づかせてくれてありがとうございました!!」